(英語学習)新しく学ぶ英文法が理解できない、使えない場合

  (この記事の著作権は Buddy's English College にあります)

1. 神経科学(neuroscience)の視点から「新しいことを学ぶ」を考える 

 「新しいことを学ぶ」ということは一体どういうことでしょうか。簡単な例と少しだけ対比させて、「なかなか覚えられないものがある」といった 学習者の悩みはどうして存在するのか、そしてどうすれば覚えられるのかということを神経科学の視点から分かりやすく解説しようと思います。


1-1. 互換型 

 これは私の言葉ですが、単純に今まで知っている事象の「別名」を新たに記憶することを指します。例えば「『スマートフォン』を別の言い方にすると『スマホ』と言う」というように、単に覚えるだけで済んでしまうようなものです。この互換型の場合には「記憶するだけ」で終わりです。丸暗記の英単語や熟語学習の仕方にも通ずる部分があります。



 1−2. 論理型

  互換型と違い、言葉の置き換えではなく新しい論理が必要になるタイプです。「考え方そのもの」が学習者にとって新鮮なもので、大きな違和感があったり理解できない場合があります。


  このようなときには通常「すでにある思考回路に当てはめて新しいものを理解しようとする」という作業が行われます。つまり「自分が持っている考え方の道筋を利用して新しい考え方を理解しようとする」わけです。


  しかしながら元々違うものを2つ並べても、共通する部分はハッキリ理解できますが、共通しない部分については「?」と、ただただ「分からない」ということもあります。   



1-3. 思考回路とその働き

  思考回路という言葉は単に「考え方の筋道」という抽象的なものだと思ってしまいますが、実は脳内に「形」として存在しています。それは「神経細胞のつながり」です。


  実際に様々な物事を判断する際に、人は脳内にすでにある神経細胞のつながりを通して理解していきます。しかしそのつながりだけでは情報を上手く処理できないときに「まったく分からない」という状況が生まれます。


  脳内にはたくさんの神経細胞の集まりや中継地点などがあります。それらがつながって一つのネットワークがあるのですが、そのネットワークはさらに別の神経細胞のネットワークとつながって、、、というように、小さなネットワークが集まったネットワーク、その集まったネットワークがまた別のネットワークとつながっている。。。という何重にも渡る構造になっています。


  自分が何かを理解しにくいと感じた場合はには、それを理解するための一部または複数の脳内ネットワークである「回路のつながりが細い」、そしてまったく理解できないと感じた場合にはその「回路が構築されていない」可能性があります。つまり今まさに理解しようとしている情報を取り込む経路が細かったりなかったりするわけですね。そうすると情報はスムーズに流れず、どこかで止まってしまったような感覚になり「分からない」「頭に入ってこない」ということになります。ネットワークのつながりが強くなると、その部分の神経細胞の集まりが実際にしっかりして太くなります。


 また神経細胞の数は、人が生まれてから20歳あたりまでは増加しその後減少するのですが、減少したからといって「頭が悪くなる」わけではありません。すでに存在するネットワーク同士のつながりを強化していくことによって、より深いことが理解できるようになっていきます。



 1−4. 「回路のつながりが細い、構築されていない」場合にはどうするべきか

  ここが今回の最重要ポイントです。 理解するための回路が細くて情報の流れが悪い、または存在しない場合には、しっかりした道を作ってやるしかありません。つまり、神経細胞のつながりを意図的に作り出したり、強化したりしていくことになります。


  その際に効果的なのは、一度学習した内容でも理解していないのなら何度も挑戦することです。分かるか分からないかは別として、やり続けることが細胞に刺激を与えます。これはただの暗記を繰り返すような作業ですが、ある期間やっているといつの間にかそれが「当たり前」に思えたり、他のことと関連して「分かる」と思えたりするときが来ます。このときに脳内で「新しい道」が生み出されているのです。


  これは勉強に限ったことではありませんが、自分としては違和感があることでも、毎日やっていると違和感がなくなって当然に思えてくるというご経験がおありだと思います。そのとき「これはそのようなものなのだ」と「自分にとって自然なもの」に変わっているのです。


  ここまでを読んで分かったかと思いますが、知識を詰め込んだり理解しようとする作業そのものが神経細胞のつながりに影響します。つまり「体に変化を起こしている」のです。しかし一瞬で体に変化を起こすのが難しいことは理解しやすいと思います。いくら骨に良い食材を食べても、食後すぐに骨が強くならないのと同じ理屈です。 



1-5. 時間をかける 

 すぐに覚えられないことがあるのは何も不思議ではありません。そのようなものとどう付き合って行くかが大切です。これまでに何度も勉強しているのにもかかわらず分からないことがある場合は、一度離れてみるのも良いです。脳は後で情報整理をしていくので、時間を空けて勉強の上塗りをしていくと良いです。それが2度、3度、4度となっても理解できるまでやって行けばよいのではないかと思います。そうすることで神経細胞に繰り返し刺激を与えるので、今までになかったネットワークが構築されていきます。


  そして離れている間に別の勉強をすれば良いです。その中で今理解できないものの理解に結び付くヒントを見いだせるかもしれません。分からないことがある場合は、あえて他のことをやるというのは有効です。  


 ここでは話の趣旨がそれるので具体的な方法についての話は避けますが、「体に影響を及ぼす」以上、「時間がかかるものなのだ。すぐに理解できたらラッキー」と楽観的に考えるのが良いのではないかと思います。



 2. 理解したものを使う 

 これまでの文脈では、「新しい知識を得てそれを理解する」ことについて説明してきました。しかしながら、学んだ文法の知識の確認では基本的には「文法問題」という、「その文法の知識を確認するために用意された英文」で確認したり、「その文法を使うと分かっている英文」を作ったりすることが多いと思います。学んだ文法を会話でも使うには、別の考え方を取り入れなければなりません。



 2-1. 「形の理解」と「必要性の理解」は別のもの

  文法の学習では「形の理解」に終始してしまい、「いつどんなタイミングで使うのか」ということに焦点があたっていないことが多いです。何かの方法で「あ、だからここで関係詞を使うのか」などと「体感」しなければなりません。これは何かを伝えようとして「必要だから発する」ときがベストです。そしてこの体感も神経細胞に影響を与えるのです。つまり、理屈と動作が相まってしっかりと脳に焼き付けられます。



 2-2. 「体感」の仕方

  ではいつどう使うのかを体感するためには何をすれば良いでしょうか。これは過去にもお伝えしたと思いますが、一人で学ぶ際にはやはり「なりきり音読」がベストではないかと思います。会話の相手がいる場合には場数をこなしているうちに「相手の発言から」学ぶこともよくあります。


  文法学習時には基本的に脈略のない文の羅列を見ていることが多いです。その学習の方法は「形」の類似性を見るには適していますが、「体感」というところまではいきません。そこで自分で一工夫する必要があります。


  どんな文法問題の文でも、その文の内容をそのまま誰かに伝えるとすれば「どんな状況だろうか」と、シュチュエーションの設定が必要になります。この作業は日本語でかまいません。いつどんな状況で誰に言うのかという細かな設定をし、その設定であればどんな声色や表情で言うかも考えてそれを再現します。このようにすることによって文法を感じとったり、それ以外にも文中のどの単語を強調して発言すればいいのかなども分かるようになります。



 以上で今回の記事は終わりです。分からないからと言って悩むのではなく、「脳内に回路を構築するという物理的な作業を伴っている」ということを知っていただければ、焦る必要はないと分かっていただけるのではないかと思います。体に変化を起こそうとしているのですから当然です。そして変化の速度には個人差があります。諦めずに、焦らずに英語と付き合っていっていただければと思います。 


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